
今回は、大学生~第二新卒3000名にカウンセリングを行い、大学でのキャリア講師、 企業研修講師として活躍されている石川恵美子さんに、キャリアコンサルタント(以下、キャリコン)としてのお仕事とキャリア講師を目指す方への支援などについてお話を伺いました。
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- キャリコンインタビュー 櫻木 友紀さん
- キャリコンインタビュー 天野 裕介さん
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これまでのご経歴を教えてください。
就職氷河期に人材広告会社に入社、7年ほど企画営業を経験し、結婚を機に離職しました。子育てをしている中 で前職よりマッチングコーディネーターとしての復職打診があり、8年振りにカムバックをしました。マッチングコーディネーターをする中で、学生のカウンセリングがしたいと思い、大学のキャリアセンターとのWワー クを始めました。現在は、フリーランスのキャリコンとして学生のカウンセリング、キャリア授業講師と企業研修講師、個人カウンセリングをしています。
キャリコンになられたきっかけを教えてください。
同期からの復職打診だったのですが、当時一度離職した人間が戻るという前例がなく、手ぶらでは戻れないと感じました。その際にマッチングコーディネーターがどんな職業なのかを調べていく中でキャリコンの文字を見つけたことと、キャリコンとして大学のキャリアセンターで働いていた大先輩に相談したこともきっかけです。
キャリコンとしてのご経験と現在携わっておられるお仕事についてもう少し詳しく教えてください。
主な経験は、大学生から第二新卒の若年者層への支援です。3,000名近くのカウンセリング経験があります。現在は、大学でのキャリア授業の開発や講師、キャリコンで学んだ理論を踏まえて、1on1コーチや管理職研修、 コミュニケーション研修などの企業研修もしています。その他、キャリア講師を目指している方への支援もし ています。
キャリア講師のお仕事をするようになった大きなきっかけがあったと伺いました。具体的におきかせ頂けますか?
人材広告会社在職中は、学生に対し一括でエントリーができる便利な就職情報サイトを提供していましたが、「働く本質」や「働く意味」などを立ち止まって考える機会を与えていなかったと思います。もちろん求人広告会社 が「働く意味」を学生に伝える必要はありませんが、その結果が、入社3年未満の離職率30%の原因の一つとい っても過言ではないと考えています。ところがそんな過去の自分のことを忘れ、キャリコンとして就職支援をしていたある日、ある女子学生に「仕事について誰も何も教えてくれなかった。でも何ができるか何がしたいかが全くわからない!!」と涙ながらに言われたのです。煽る存在だけだったかつての自分と現在のキャリコンとしての自分が学生に「伝えなくてはいけないこと」があるのではないか、自分の経験とスキルを活かすことができるのではないかと感じ、キャリア講師への道を考え、行動に移しました。
大学生や第二新卒のキャリアコンサルティングをするうえで気を付けていることはどんなことですか?
自分の学生時代のことは捨てて、令和2年の学生の目線で聴くようにしています。少子化が進み、「サービスを受けることが日常」 と思っている学生がいきなり社会に出て自分で考え、数字・結果を求められてもアレルギーを起こしてしまうのは当然です。その不一致を埋める為に「働くとはどういうことか」をキャリアの授業で扱っています。また情報を取捨選択し、自分で考えることが大切だということも伝えるようにしています。
キャリア講師を目指す方への支援を積極的にされていると伺いましたが、そのきっかけを教えてください。
一つは、カウンセリングだけがキャリコンの仕事ではなく、キャリア講師や企業研修講師もキャリコンの仕事であると考えたからです。私自身がキャリア講師を目指したときの手探り状態で非常に苦労した経験が講師未経験の方のお役に立てるのではないかと考え、“キャリ塾”を立ち上げました。また講師として登壇する中で、やりがいを非常に多く感じる素晴らしい仕事だと実感しています。このキャリア講師の素晴らしさを、キャリコンとして次のフェーズにチャレンジしたいと考えている方をサポートしながら、お伝えできたらと考えています。
“キャリ塾”の具体的な内容を教えてください。
“キャリ塾”は、キャリア講師を目指すキャリコンを対象にした講義と個別のカウンセリングを組み合わせたプロ グラムです。はじめに個別のカウンセリング、“エッセンシャル・カウンセリング”を実施し、「なぜキャリア講師になりたいのか」、「どんな授業をしたいのか」などの意向を確認し目標を明確にしたうえで、 受講をスタートします。現在は全3回のコースで、大学のキャリア授業に関することや、授業の構成、資料作成 のポイントなどを学び、模擬授業とそのフィードバックも行います。またエージェントの方との交流会も設定しております。私自身が試行錯誤する中で作り上げた内容を中心に、“その人らしさ”を引き出し分析した講座・授業・研修開発を目的としています。一番の特徴は、講座の合間に個別カウンセリングを行い、その人の才能や個性、気づいていないポテンシャルを発掘することができる点です。
“キャリ塾”の参加者は、どういった方が多いですか?
大学生と関わりたい方が多い印象です。他にも大学のキャリアセンターで就業しているが、もっと自分の強みを見つけたい方や自己研鑽の一環で参加される方も多いです。
“キャリ塾”の参加者の方に対してどのような“想い”を持って支援されていますか?
「絶対幸せにする!」「次のステージに一緒に行こう!」でしょうかね(笑)。ご自身のできること、やるべきことを“キャリ塾”をとおして見つけて頂けたら嬉しいです。
来年から再び“キャリ塾”を開講されるそうですが、その他に新たな計画を考えておられますか?
キャリコン資格を取得し本当に良かったことは、自分で自分のことをカウンセリングするようになり、闇雲に悩むことが無くなったことです。これからの時代は自分の中にしか正解がない時代なので、自分と対話をして欲しいと思っています。 寝る前でも電車を待っている時間でもいいので自分の心の状況をいつも振り返ってほしい、自分はどうありたいのか、と内省をしてほしいのです。 現在は、Twitterで“#今日の自己対話”というハッシュタグを付けて色々発信しています。来年ぐらいにこれまでに発信した内容をまとめて動画でアップできたらと考えています。
今後のキャリアプランを教えてください。
コロナの影響で働くスタイルが大きく変化している中で、採用も新卒一括採用のメンバーシップ型採用から職種を特定しその職種を遂行できる人を採用するジョブ型採用に変化し、それに伴って人事評価も変わっていくでしょう。採用のスタイルが変わるわけですから、キャリア授業も変わらなくてはいけないと考えています。また多くの学生と関わっている中で感じるのは管理職像も変わらざるを得ない、という事です。新しい管理職像として、以前の指示命令スタイルから韓国の音楽プロデューサーJ.Y. Park氏のような承認型スタイルになると思っています。そんな時代に沿った変化の中で、切っても切り離せないのはまず「傾聴」です。この「傾聴 」の他にもキャリアコンサルティングのエッセンスを企業研修講師として広めていきたいと考えております。
最後にキャリコンを目指している方にメッセージをお願いできますか?
キャリコン資格をただ取得するだけではなく、自分の強みを理解し、そして自分の就業領域、「どういった人達をどのように支援したいのか、またそれはなぜなのか」までを明確にしてください。そして時代の流れをキャッチし、何が求められているのか自分だけの見立てを立ててください。時代を分析し時代が求めていることと自分がやりたいことがフィットすれば必ず爆発breakするはずです!
本日は貴重なお話をきかせて頂き、ありがとうございました
インタビューを受けてくださったキャリアコンサルタント