
今回は、スターターキットの作成にもご協力いただいております、中部キャリアコンサルティング普及協会の中村 英泰さんにインタビューをさせていただきました。
キャリアコンサルティング技能士2級の資格もお持ちで、主に企業領域で活躍されている中村さんに、キャリコンサルタントとしての熱い思いを語っていただきました。
- キャリコンインタビュー 澤田 有賀里さん
- キャリコンインタビュー 唯吉 久美子さん
- キャリコンインタビュー 中村 英泰さん
- キャリコンインタビュー 櫻木 友紀さん
- キャリコンインタビュー 天野 裕介さん
- キャリコンインタビュー 石川 恵美子さん
- キャリコンインタビュー 本木 和子さん
- キャリコンインタビュー 河本 仁美さん
キャリアコンサルタント(以下、キャリコン)になる前の経歴を教えてください。
人材業界で、求職者の働きたいというウォンツと企業の働いてほしいというニーズを繋ぐ仕事をしていました。主には、新規営業でニーズを増やすことと、働くスタッフのサポートです。サポートと言うのは、スタッフから、退職したいという話があれば、より条件に合った仕事を繋いだり、不満があればそれをできるだけ詳しく聞いて改善できることは改善していくという内容です。
キャリコンの資格を取ろうと思ったきっかけは何ですか?
担当する派遣スタッフの数が100人規模に達したときから、仕事全体に限界を感じ始め、今までと違った何かいい方法がないかを模索している中で、キャリコンの資格(当時はCDA)を取ろうと思い立ちました。
キャリコンの資格を取ったことで何か変わったことはありますか?
取得前は、派遣会社側の視点で「売上や、契約件数、取引先との関係」を基に、派遣スタッフに“いかに長く勤めてもらうか?更新してもらうか?”を考えサポートをしていました。取得後は【キャリア的視点】を持って「スタッフが、本当に困っているのは何か?」を考えてサポートすることができるようになったのが大きいですね。こうして考えると、以前は完全に私視点でしたね。
資格取得後、キャリコンとして働いていくために、最初にどんな行動をしましたか?
資格取得直後から「将来はキャリコンを生業として生きていきたい」と思っていたので、在職中にキャリコンに関する仕事をアルバイト的に始めました。当時は、社会的に今の様な副業と言うポジションは無かったので、隠れてコソコソ…的な感じでした。具体的には、就職フェアのようなところで、外部のキャリコンとして相談に応じることや、派遣会社に勤めながら他の派遣会社が募集していた大学での学生に対する就活支援キャリコン(単発)の仕事もしましたね。また、土日を利用して、キャリコン養成講座の運営スタッフもしました。
これらの仕事はどうやって探しましたか?
当時は、きゃりぽの様なサイトも無かったので、キャリコンが集まる勉強会に参加してリアルな交流を重ね「○○をしたい」みたいなことを色々な人に話していたことを憶えています。そこから、少しずつご縁で、仕事を紹介してもらいましたね。
キャリコンとして独立した直後は、どんな仕事をされてきましたか?
独立と言えば聞こえは良いですが、キャリコンとしての仕事がゼロに近い状態で、企画を作って営業するなど 必死に仕事を探しましたね。そんな中、最初の仕事は、先輩のキャリコンから、先輩が持っている職業訓練校の授業を1コマ頂いたのが最初の仕事でした。今振り返れば、通勤時間や交通費などを考えると、とても効率の悪い仕事でした。ただ、その仕事をさせてもらったおかげで、自信を持つことができました。やってよかったと思っています。今でもその先輩には感謝の念でいっぱいです。
キャリコンとしての現在の活動を教えてください?
法人を設立して「キャリアコンサルティングがインフラになる社会」を目指して活動しています。BtoBの取引を中心に、キャリコンの資格取得の為の勉強会やキャリコンとして自立を目指す人たちに向けた定期の勉強会も開催しています。最近は、私が7年掛けて体系化したキャリコンを仕事に繋げるための【面談から把握できた組織の課題にアプローチして解決できるスキル】を勉強する会も開催しています。
キャリコンとして活動する中で意識していることは何ですか?
意識している事として、大きくは2つあります。1つは【常にキャリア的視点で物事を捉える習慣】です。もう1つは【キャリコンをインフラとするために、知識や経験を自分だけのものとするのではなく仲間の間で共有する=オープンソースの考え方】です。オープンソースと言うのは、キャリコン経験の浅い仲間に、私の研修や商談に同行してもらいロールとして参考にしてもらう機会を設けたり、研修で使用する資料なども自由に使える機会も提供しています。そこには、これまでの経験を振り返ったときに、自身が伴走者が居てくれたことでずいぶんと助かった経験に基づいています。
技能士の2級をお持ちですが、業務等でなにか違いを感じますか?
技能士の2級を持っていると、キャリコンの方達からは、魅力的に見られるようで「凄いですね」などの言葉を頂きます。一方、クライアント(法人の担当や面談対象の方)からは「何で、キャリコンの資格を2つ持っているの?」と聞かれます。キャリコンでない方達からすると違いがわからないようです。私の認識では、これは業界内の拘りであって、一般的には、“どちらでも良いこと”だと感じています。
重要なのは、違いがどうかよりも「キャリアコンサルティング」であれ「面談」であれ、その本質と重要性、また効果を状況に応じて言語化し提言することだと思います。
キャリアコン有資格者の増加に合わせて、その認知と市場が広がらない背景には、「標準レベルか?技能士2級なのか?」の様に我々の拘りが影響しているとも感じています。
SNSにも力を入れておられるようですが、どのようにSNSを活用されていますか?
今は、facebook・Twitter・YouTubeを通じて“キャリア的視点に立った情報”を発信しています。多くの方にとって、より身近な言葉になればとの思いで「世の中の動きをキャリア的視点で捉えた内容」を発信しています。読んで貰えたら「あっ、なるほど!」って感じて頂けると思います。多くの方が情報発信できる時代になり、他のキャリコンの方々が動かれていることも耳にします。今後は、全国のキャリコン同士がもっと広く繋がれる、きゃりぽの様な仕組みが重要になってくると思います。
キャリコンを導入すべき企業の特徴を教えてください。
働きかた改革の真っ只中において、大企業よりもむしろ中小企業が積極的に導入すべきだと思っています。
その理由として、私が見てきた限り大企業は上層部でコンセプトを明確にし、部署を核に担当を任命し一度フォームを整えれば意外と展開して行きます。一方、中小企業になると代表者の理解に時間がかかります。部署や担当の任命においても適任者が不在で、なかなか具体的なフォームづくりに移ることもできません。いざ、代表の理解進んだとしても社内には専門家がおらず、育成をゼロベースで行う必要があります。つまり、全ての企業が取り組む必要性はありますが、取り組み始めるタイミングは、中小企業の方が時間を要する分だけ早めに取り組む必要があるということになるわけです。
澤田:どの会社にもある経理部や人事部のような位置づけでキャリコンが当たり前になる世の中になるといいですね。
中村:法律はそうなっているですが、私も含むキャリコンのレベルも、企業側の認知まだまだ先の話になるような気がします。だからこそ、取り組む必要があると考えています。
今後、中村さんが目指す方向性を教えてください。
現在、キャリコンに関するプロジェクトを20個程度同時進行しています。
その中でも、軸にして行きたいのが「キャリコンの人たちが、職業として自立できるような仕組みづくり」です。
構想段階ですが、コミュニティをもっているキャリコンの方達を集めて、大きなコミュニティを作り、その中でできる限りオープンソースな環境をつくるというものです。
資格を取得したばかりの方へアドバイスをお願いします。
どういった過程で、キャリアコンサルトになったかにもよりますが、少なくとも自身のキャリアコンサルティングはしておいて欲しいです。そうした後に具体的行動に移さないと、自分で自分を動かないと何も変わらいので、興味を持った領域には自から飛び込んでいくことが必須です。ハップンスタンス・ラーニング・セオリーですね。そうした中でも、私がお勧めするのは、知らないキャリコンの人が運営しているコミュニティに参加することです。そこで自らが考えていること、実現したいこと、そのためにやろうとしていることを言葉にすることは、自らの考えが整理され再定義される意味で、良い経験になると思います。
最後になりますが、これだけは伝えたいという思いなどがございましたらお願いいたします。
私が社会人1年目で務めた会社は、今でいうブラック企業で、仕事時間が長く、休日出勤も多く、自分時間が短かったんです。言いたいのは、仕事時間が長いから短いから云々ということではなく、仕事時間が長いことで先輩社員からは、くだらない話も含め裏話などいろんなことを教えてもらえました。その中には、重要な仕事のノウハウなんかもありました。そのおかげで、今の自分がいると思います。
一方、今は仕事時間が短く、自分時間が長くなってきています。増えた自分時間を“自分の将来に活かせる時間”として活用できる人はどれだけいるのか?と疑問に感じます。そうした問題を解決して個人の価値を高めて行くと同時に、会社の生産性を高めて行くために、キャリコンが間に入っていくというニーズがこれからたくさん出てくると思います。そういった相談をされた際に、我々が何を提案できるか? 今から、準備が必要だと思います。
本日は、中村さんの熱い思いを聞かせていただき、ありがとうございました。
ありがとうございました。
インタビューを受けてくださったキャリアコンサルタント